歐吉桑、臺灣を行く

台湾について見たこと、聞いたこと

読後感 その1

辛永清さん著「安閑園の食卓 私の台南物語 」を拝読。誕生された1933年から来日する1955年まで、台南で暮らした生活が食を中心に書かれている。中国人としてのアイデンティティがいかに育まれたかが食を通して読者に伝えられている。

食を通してどのようなことが時代を超えて伝えられるか、また家族や周囲の人々の在り方、人々が暮らし生きた様がある。外国人が知り得ない慣習やしきたりを観ることが出来る。生き生きとした文章から、そこに暮らす人たちの息づかいまでが聞こえそうだ。

歴史上での大きな出来事でなく、歴史の中にいる個人個人の記憶こそが本来もっと大切に扱い受け継がれるべきことなのかもしれないと思えて来る。文章から感じる幸福感とは裏腹なこともあったかもしれないが、それすら飲み込んでしまうような幸福感を感じた。